消えない炎のように、一途を貫いた ― 神亀酒造の日本酒「神亀 純米酒」と冠二郎「炎」|味わい・合うおつまみ

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今日のペアリング

酒蔵の話

埼玉県の神亀 純米酒

埼玉県蓮田市、嘉永元年(1848年)に「伊勢屋本店」の屋号で創業した神亀酒造。昭和62年(1987年)、七代目蔵元・小川原良征氏の決断により、仕込む酒のすべてを純米酒に転換し、戦後日本で初めての”全量純米蔵”となりました。戦時中の米不足を背景に始まった醸造アルコールの添加は、戦後も業界の”常識”として定着していましたが、小川原氏は「日本酒は食中酒としてこそ、その本領を発揮する」という信念のもと、米・米麹・水だけで造る酒だけを造り続けるという、当時だれも選ばなかった道を選びました。

この決断のあと、経営に悩む地方の蔵元や酒販店からの来訪者が相次ぎ、小川原氏は蔵の中をすべて見せながら、持っている知識を惜しまず伝えたといいます。1990年には純米酒造りの技術共有を目指す「蔵元交流会」を結成し、お燗を食中酒として楽しむイベント「燗酒楽園」も開催。お燗の温度を変えることで酒の味わいを料理に合わせるという実践を、全国の蔵元とともに広めました。2017年4月23日、70歳で死去するまで「全量純米蔵を目指す会」の代表幹事として活動を続け、現在は小川原氏の長女の夫である小川原貴夫氏が代表を務めています。敷地内には18の冷蔵・熟成庫があり、熟成によって酒の味がより豊かに開花していくという考え方を今も受け継いでいます。

土地の話

神亀酒造が蔵を構える埼玉県蓮田市は、さいたま市の北東に隣り合う、東北自動車道とJR宇都宮線が通る街です。蔵の裏手には、かつて「天神池」と呼ばれる池があったと伝えられ、そこに棲むとされた神の使いの亀が「神亀」という銘柄名の由来になったといいます。

音楽の話

合わせたのは、埼玉県秩父市出身の演歌歌手・冠二郎(本名・堀口義弘)。作詞家・三浦康照に見いだされ、1967年、日本ビクターから「命ひとつ」でデビューしました。

代表曲「炎(ほのお)」は1992年9月21日発売。作詞は三浦康照、作曲は和田香苗。それまでの正統派演歌から大きく方向転換し、「アイ、アイ、アイライク演歌」というサビや「Flame, Flame, Flame」というコーラスなど、英語を取り入れた当時の演歌にはない作風で注目を集めました。若い世代からの支持も集めて1992年の日本有線大賞有線音楽賞を受賞し、NHK紅白歌合戦にも出場。オリコンの週間チャートでは48位でしたが、その後長く歌い継がれる冠二郎の代表曲となっています。

なぜこの組み合わせなのか

1987年、神亀酒造の七代目蔵元・小川原良征は、戦後の酒造りで”常識”だったアルコール添加をやめ、米だけで造る純米酒へ全量転換するという、当時誰も選ばなかった道を選びました。その5年後の1992年、同じ埼玉県の秩父市出身の演歌歌手・冠二郎は、オーソドックスな演歌の型を離れ、英語を交えた型破りなスタイルで「炎」を世に送り出しています。

どちらも、周囲にどう見られるかよりも、自分が信じる形を貫いたことで、のちに代表作となる一本・一曲を生み出しました。同じ埼玉県で、それぞれ”型”を破った蔵と歌手。二つの”一途”の物語として、この純米酒とこの曲を合わせました。

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🌡️ おすすめの飲み方:常温から人肌燗・ぬる燗(40℃前後)で。小川原良征氏自身も「日本酒は食中酒としてこそ本領を発揮する」と、お燗の温度を料理ごとに変えて楽しんでいました。まずはぬる燗から試してみてください。

合わせたい「アテ」

神亀 純米酒に合わせた料理

  • おでん
    辛口でしっかりとした酸味を持つ神亀の純米酒は、出汁の旨味が染みた大根やちくわ、こんにゃくとよく合います。小川原氏が実践していた「お燗の温度を料理に合わせる」という楽しみ方にも通じる、体の温まる一品です。
    レシピはこちら:クラシル「寒い日といえば!の、定番おでん」
  • 豚の角煮
    とろりと煮込まれた豚バラの脂に、純米酒ならではのしっかりとした酸味と熟成感のある濃醇な旨味が応え、後味をすっきりと切ってくれます。
    レシピはこちら:クラシル「やわらか!こってり!豚の角煮」

科学的にひとこと:豚の角煮のような脂の多い料理では、酒に含まれる有機酸が脂を洗い流すように感じさせ、次の一口をまた美味しく感じさせてくれます。おでんのような出汁料理では、昆布や削り節に含まれるグルタミン酸・イノシン酸系の旨味と、純米酒ならではのアミノ酸系の旨味が重なり合うことで、旨味の相乗効果が生まれます。

ひとことメモ(日本酒の用語)

  • 純米酒:米・米麹・水だけで造られ、醸造アルコールを添加していない日本酒。米の旨みをまっすぐ感じられるのが特徴です。

参考

内容に誤りがございましたら、お手数ですが info@soundrecords.jp までご連絡いただけますと幸いです。


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